最初から軽快で、先が気になりweb小説を結末まで読みました。ずっと一貫して面白い作品です。後半はストーリーのスケールもUPしていき最後までグイグイ引かれました。
ヒロイン(コレット)はヒーロー(王子ラディス)の私財管理の専属会計士として雇われます。ヒロインはある事情から仕事を引き受けたくありませんでしたが、王子の方にも事情があり雇いたいのは女性会計士でした。
10年前、王子は王妃になる者と共に触ると現れる「王の徴(しるし)」を顕在させていましたが、その時、手をつないでいのは、あろうことか“少年”で、その後は行方不明のその人物を探し続けていました。相手が少年であった事が非常にまずく、以後、男色疑惑をささやかれ続けていました。そしてその少年こそが男装したヒロインだったのです。家族を巻き込んで断罪される事を恐れたヒロインは、事実を伏せたまま無事退職出来るまで、やり過ごそうとしますが…。
ヒロインは会計士として優秀で、相談された事業へのアドバイスができる程の見識の持ち主。かつ非常に仕事熱心。恋愛事には疎い方で、ベクトルが仕事に振り切れています。自立したキャリアウーマンが、仕事に集中するが故に鈍いパターン好きです。天然ボケで鈍いパターンよりずっと好きです。
ヒロインは平民にも関わらず物怖じしない性格、王子に歓心を買いたい気持ちが微塵も無く、仕事熱心な為に、ちょっと図々しいくらい。王子には無礼と捉えられても仕方がない程度なのですが、王子は許容し、むしろずっと目を掛けます。途中で目的の少年がヒロインであると露呈しますが、それはまだ通過点。
ヒロインと王子の掛け合いは、軽快で面白い、どちらかと言えば王子の方が下手です。ヒロインが少年だと知る前から惹かれており、ヒロインの血の繋がらない義弟と恋の鞘当てにもなります。
もともと好意的でしたが、時間が経つにつれ、王子の気持ちはさらに真剣になり、ヒロインへの態度も婚約者に対するものに等しくなって行きます。ヒロインは自立心が強く、おとなしく従ったりしませんが、王子はそんなヒロインが可愛い、手を焼きますがそれがいい、為政者として資質充分で有能な王子を、惚れさせるのでした。自分の手元に囲いたいのに、奔放なヒロインは一筋縄ではいきません。王子が仕方なく渋々ヒロインの好きにさせるのが、惚れた弱みを見せる様で甘々なのでした。