まず、人物の作画や衣装デザインは文句無しに美麗です。絵を眺めているだけでも満足するほどです。
それだけではなく、少女漫画と少年漫画が融合したようなストーリー展開も巧みで、漫画としてとても面白いと思いますし、続きを読みたいと思わせる力がある作品だと思いました。
私は日頃電子で漫画を読んでいるのですが、女王の狗単行本1巻が家の本棚にはあります。応援したくなる作品です。
作者さんのブログでは「女王の狗は女性が王になる話であり、フェミニズム作品である(意訳)」というような旨が書いてあったと記憶しており、私はそういった要素を期待してこの作品を読んでいました。
女王の狗が面白い作品であると思うからこそ、気がついた違和感をレビューとして残そうと思います。
最初に語りたいのは、主人公・晃日の描写についてです。
この作品では、主人公や他の妃たちなど、女性キャラだけが胸元が露出した衣装を着用していますが、おそらく女性読者が大半であろうこの作品において、このような露出は誰向けなんだろうと言う疑問が浮かびました。
作中で「男と女は同じ」と主人公が良いセリフを言いますが、衣装の点からしてはっきりと男女で格差があります。
また性格に関して、主人公は過酷な境遇で育ったという設定なのに、危機感がなく、非常に侮られやすい、いわゆる「世間知らずのお姫様」というやや記号的な性格です。主人公のことは応援したいですが、「主人公の描写」に現実みがないと感じました。
だからなのか、主人公が話を動かしているというよりは、周囲の事情に巻き込まれながらその温情の中で生かされているという印象が強いです。
ここがとても惜しいと感じました。
次に、主人公の異母兄・示熙に関して
少しネタバレになりますが、示熙は主人公に対して重大な加害を行います。
その周辺の描写は、加害者である示熙の心情を丁寧に扱い、理解を促し、主人公の葛藤や示熙との支配関係を強い感情によるロマンスとして描いているように見えます。
その描写に強い違和感を覚え、納得できませんでした。
加害を描くことが問題なのではなく、それをどう扱うかが問題だと感じています。
ゆえに複雑な気持ちになり、第2巻以降の購入を断念しました…
私の違和感とは別に、作品としての魅力は確かにあり、だからこそ今回レビューを残そうと思いました。未読の方へ何かの参考になれば幸いです。