個人的にとても好きなパターンです。能力高いヒロインが、仕事熱心なゆえに、斜め上の勘違い。かみ合わなさが、可笑しくてたまらないという…ラブコメディ。
ヒロイン(伯爵令嬢フィーネ)は家督を継いだ叔父夫婦から、虐げられる生活。しかしまだ何の幸運を得ていない時点で、既に一筋縄ではいきません。自立心が強い、メンタルタフネスです。
彼女の幸運は《黎明の賢者》と呼ばれた魔法使いの幽霊に師事できた事。金目当てで嫁がされるクロイツフェルト公爵家との政略結婚も、実は裏で手を回していたヒロイン自身の差し金でした。
こんなふうにいちいち裏事情があります。「評判の悪い薄幸令嬢が政略結婚先で、資質の良さを見初められて、ヒーローから溺愛される」だけではないのが、ひと味違うところ。むしろこの裏事情の方が本筋で、溺愛の甘々はもっともっと先になりそうです。
ヒロインのチート能力は、半端なく高いレベルで、味方に出来る確証がないならば、国家を脅かす存在として危険視される程。しかしこの能力の価値認識も、世慣れないヒロインは、勘違い全開。いろいろやらかしてくれます。
お相手のヒーロー(公爵令息シオン)は、将来を嘱望された、史上最年少で《五賢人》の一人となり《氷の魔術師》と呼ばれる人でした。彼の方も孤独な育成歴であった為、素直に自分を表現できません。出会った当初、ヒロインに冷たい言動をしますが、一筋縄ではないヒロインも一向に意に介しません。あ〜可笑しい。
ヒロイン単独で目標達成の為、突き進んだり。ヒロインにとって最優先な存在は、実はヒーローではなかったりします。それでも徐々に関係は進展していきますが、裏事情の展開の方がダイナミックでスピード感溢れます。恋愛は初心でじれじれ、みずみずしい。
不器用だけど、正義感強く、男前なヒロイン、女性としての喜びを知り、幸せになって行くのが楽しみです。