戦闘用奴隷として育てられ、発育不良で、言葉もたどたどしいヒロイン(八番:ユイ:人間)が奴隷主に逆らって、隷属の首輪に首をねじ切られる瞬間、ヒーロー(セレスト:竜人)に救われるところから、物語が始まります。
ヒロインは竜人であるヒーローの『番』でした。しかしヒロインは12歳、ヒーローは成人男子(280歳)という関係上、保護者として接する以上の事はタブーなのでした。
それまで凄惨な生活を送っていたヒロインですが、共に助けられた姉貴分の同じく奴隷だった(十七番:ディシー)と、穏やかで、満ち足りた生活を送れるようになります(ひとり例外を除いて)。その描写は、健全で、児童文学をみている様です。
しかもどうしても避けられない“寿命問題”…人間は100年、竜人は1,500〜2,000年という途方もない差があり、やがては死別の苦しみが確実に訪れると分かっています。それでもふたりは共に居る事を選ぶのでした。
ヒーローは理知的な紳士なのですが、竜人としての本能があります。その辺りの描写は、さらっとしていますが、内心はいかばかりかと。作品内で人間の成人年齢は16歳なんですが、身体が細いヒロインが18歳になるまで、番うのは待つヒーローです。毎晩添い寝をして、性的な接触はご法度。聞いているだけで苦しそうです。
原作では竜人が番うと訪れる『蜜月期』があり、その間はずっと愛され続けるので、体力がいるそうで。まだまだ未成年のヒロインですが、成長して番う日を迎えたら、大変な事になりそうです。
ヒロイン自身も控え目で優しく、実直な性格で好感持てますが、修行僧より激しい禁欲生活(修行僧は愛しい女性と添い寝したりしない)に耐えるヒーローを、つい応援したくなるのでした。
ついにその日が訪れたら、描写はどうなるのでしょうか?今は児童文学のような清廉さですが。さらっとした描写なのでしょうか?でも6年もジリジリ待たされたのに?まだ先になりそうですが、勝手に気を揉む自分が可笑しいです。先が楽しみです。