大学生活に馴染めず、ひとりぼっち気味の七瀬が檜山さんと出会うことで、世界が少しずつ色づいていく過程が丁寧に描かれていて心に残る一作
大きな事件はないけれど、恋が芽吹く瞬間がとても自然で、読んでいて胸がじんわり温かくなります
七瀬の不器用さや初恋ならではの戸惑いに共感しつつ、哲学科の檜山さんの静かで深い魅力にもいつの間にか惹きつけられる
一方で、展開はややゆっくりめなので、テンポ重視の読者には物足りなさもあるかもしれません
でもその“間”が醸し出す雰囲気こそ、この作品の魅力だと感じました
派手さはないけれど、初恋の甘さと静かな切なさを味わいたい人にぴったりのキャンパスラブです