このレビューはネタバレを含みます▼
キューピッドの高校生・愛斗(まなと)はある日、スポーツ科の元気男子・心渡(とわ)に一目惚れされて、猛烈なアタックを受けるようになる。最初は鬱陶しく思っていた愛斗だが、次第にひたむきな心渡に惹かれていく。だが、キューピッドには「人間に恋をしてはいけない」という掟があり……。というお話。
とにかく愛斗が可愛いです。淡々とお仕事をこなす美少年キューピッドで、お話が進むごとに人間らしい表情が増えていくのが最高。元気いっぱいで愛斗一筋の心渡も、大型犬感があって愛おしい。脇役としては、愛斗のお友達であるキューピッドの糸(いと)くんがいますが、この子も陽気でいいキャラ。
キューピッドと人間の「異種族恋愛」はちゃんと実るのか?というハラハラ感もあり、最後まで目が離せません。ラストでふたりがくっついてからは、心渡が我慢できなくなって積極的に行くところが良い。
読み始めたときには、私の野暮な性分ゆえに、キューピッドという種族の詳細がもう少し詳しく知りたいなというもどかしさもありました。「キューピッドは人間社会に溶け込んで暮らしている(人間には正体が気づかれていない)」という設定で、愛斗の両親もキューピッド。「肉体は物質的には人間と変わらないのかな。人間界で生まれるんだとしたら、キューピッドはいつどこで使命を授かるんだろう」「天上界みたいなのがあるのかな」など、やたらにバックグラウンドが気になってしまい……。
とはいえ、それはファンタジックな設定に対する自分のノリの悪さみたいなものなので、そんなことを考えずに楽しんだほうが良い作品と思います。とにかく可愛さ100点満点のお話なので!