シチュエーションにリアリティがあるとは言い難いですが、フィクションの良さとは現実では起こりえない(または起こしてはならない)シチュエーションを楽しむことにあると思うから、私はそこも踏まえて好きです。
何より、起こりえないシチュエーションであるのにも関わらず、登場人物の心情がリアリティを持ってたち現れてくる描写(ゴムを握りしめて緊張している描写など)が見事だと思いました。私の身に起こった出来事でないのにも関わらず、登場人物の心情描写があまりにも自然で、私の似たような経験を想起させるから思わず感情移入してしまいました。
とても素晴らしい作品です。