とっても良かった!三角関係でヒロインを取り合うストーリーなのですが、原作の結末は爽やかでした。
仕事以外はポンコツなヒロイン(子爵令嬢ヴィエラ:王宮魔法使い)は『父が急病。すぐに婿を見つけ帰郷せよ。婿は誰でもいい』と実家から火急の知らせを受け、夜会に参加しますが、普段仕事中毒と噂が流れる程の仕事漬け、相手など簡単に見つかる筈もありません。
やけ酒を煽るために訪れた東屋で出会ったヒーロー(公爵三男ルカーシュ:神獣騎士)と意気投合し、契約結婚を合意します。それを知って冷静でいられなかったのは、ヒロインが仕事漬けになる原因、後輩男子(侯爵嫡男クレメント:結界課班長)でした。
ヒーロー文句ナシのイケメン。家柄、能力、容姿、人柄、そして救国の英雄である…全て揃っています。男らしい魅力に溢れ、初心なヒロインを気遣いながらも、ここぞというところは強引。完璧です。
後輩男子もヒーロー程の派手さはなくても、かなりの優良物件。ヒロインに後輩男子からは嫌われていると誤認される態度をとっていますが、これには事情があったりします。ヒロインを学生時代から思い続け、数年かけて外堀を埋め、いよいよという矢先にヒロインをさらわれる。後輩男子の方が当て馬設定なのですが、横槍を入れられたのはどっちなのか判定し難い背景です。
そしてヒロイン。自分の女性的魅力に気付いていない。無知の魅力。魔法使いとしては、国でも片手に入るくらいの実力。女性としてはイケメンふたりからの取り合いになり、仕事も彼女にしか出来ない有用性で熱望される。公私ともにモテモテ状態なのですが、いかんせん鈍い。
恋愛模様と同時に職務に励まざるを得ない状況。中だるみなくストーリー展開します。恋愛模様は、ポンコツヒロインをよそにイケメンふたりが、バチバチ火花を散らします。周りは空気の冷え冷えぶりに肝を冷やしますが、ヒロインだけ解釈間違ってますけど…な状態。可笑しいけど、これぞ恋愛物語の醍醐味な場面が繰り返しあります。
イケメンふたり、どちらも魅力的。ひとりは恋心を諦めねばなりませんが、その際も潔く爽やか。成り行きが自然で無理を感じません。絵も美しく、面白く、素敵な作品です。