尼僧院から来た花嫁、魔性の花嫁、そして、本作品と、日高先生の作品には、時代がかった生活ぶりの描写にそれらしさがあって、騎士の服装にも戦をくぐり抜けてきている古い時代感が出ていて、城内の様子や生き馬の目を抜くような当時の環境設定に、絵的に嘘臭さがない。その力強い説得力がいい。
ヒロインが嫁ぐ先に向かう冒頭の森の黒さ、城の陰気さ、なかなか不気味な始まりで演出効果が出ている。
私はヒロインと彼との間に次第に育まれる感情が視覚的に味わえなかった。いかに相手が自分にとっては愛する対象となったか、プロセスに納得の行きづらいストーリー展開。
身体の関係のほうは描かれているのに、そして冷えた城内の空気感は出ているのに、メインキャラの感情の進行に伴い、序盤の冷たい空気が明るく暖かいものに変化する、という感じが足りない。気持ちの変化を言葉以外でも見たい気がしたのは、欲張りかも知れないけれど。
所々少し遠目の人物にラフな印象があった。