このレビューはネタバレを含みます▼
家の都合で結婚が決まり、直哉らしい不器用な優しさが、妻として望まれていないと勘違いさせてしまう。
「綾乃を幸福にしたい」…それだけが彼の望みだと思われたが、婚礼の夜から始まった妖怪たちとの秘密の時間が、思わぬ方へと導き、事件が起こる。
隣部屋を覗ける祖父の絵から、その不気味な目から、人間の業が動き出す。
彼が言う「妖怪になりたい」という言葉の意味を考える。
不自由ない暮らしに見えて、選択肢のない未来しか用意されていない直哉の孤独に思いを馳せつつ、
幸福にしたい綾乃と、それが可能な龍之介を、覗き穴から見るのではなく、ずっと傍で見ていたいという願い。
本当にあの親父のせいで、金持ちなのに、なにも持たされていないのが悲しい。
言動が幼い直哉と長女気質なのか溢れる母性に満ちた綾乃の組み合わせが素晴らしいので、綾乃との婚姻を決めたところだけが寛治の唯一の功績。
「僕が一緒に行くから」のセリフと、綾乃の「あなたは私の旦那様なんだから」の相乗効果で効くシーンが良い。
祖父の助骨の中で眠るミヤの情念と愛着、100年生きた証が復讐による妖怪になるのが悲しい。
スズエ、綾乃、直哉…と体を乗り移りながら、果たした先の罪の露呈と精神崩壊。
入婿とはいえ、野心と自己保身でを歪んだ寛治が、妖怪より醜いので…最後は生きたまま、罰を受け続ける寛治の生き地獄ぶりが良かったとも思う。
ミヤの執念、ちゃんと見届けたよ!
一番、星が美しく見える部屋を綾乃に用意する優しさと
「私に星を譲ってくれたの?」「…おやすみなさい」
このシーンが、夫婦の情を育んでいる最中を表していて好きなシーン。
そしてラストの星が見える部屋に2つのベッドを並べている演出が効いている。
お坊さんになった龍之介とマリちゃんの結末も好きだし、直哉に「変な絵」と、素直に言える信頼関係と、「でも私 好きだわ」と欲しかった直哉を肯定するセリフも良い。
コドモペーパー先生の作品を味わって欲しいです。