ネタバレ的な感想です。
学校内のモメゴトを収める裁判部。決してチャチな真似事ではなく、本当の裁判のように部員たちは真摯に取り組んでいる。裁判部は学園モノによくある人助けの好きな同好会のようなものではなく、学校創立以来の伝統ある部で、最高の権限を与えられ、生徒たちもその伝統を誇りに思っている(物語の初めの頃は認知度も低かったが)
ただ事件がおきて解決~というわけではなく、部員たちや他の生徒たちの細かい心理描写が素晴らしい。この物語と合わせて「バルサミックムーン」も読むと、いくつかの謎やもやもやとした部分が明らかになる。
私はバルサミック~から読んだので、まずライカの容姿に驚いた。これはまるで――。それと、バルサミック~を読むとわかるシーンやセリフ、その場面の瞬間に「このことだったのか!」と衝撃が走った。
私は人が死んで悲しい話や死んで解決しようとする話は本来苦手なのだが、なぜ亡くなってしまったのかも納得できた。ただ死ぬだけなら事件や事故、病気でもいいだろうに、敢えて最も悲しい亡くなりかたをした。あまりにも辛かったけど、でも、そうなることでより大切なものが見つかったのだと、そう思いたい。