将来の国王は周りが自由にさせておかない。ところが彼は思うままに行動、他人がどう思おうと貫いている。ただしそれは、ヒロインの心さえも余計な深謀遠慮なしだ。
当然女性は彼の真意を計りかねる。いっときのおたわむれの対象になってしまったら傷つくから。王子様の思わせぶりにいちいち喜びそうになってる自分を必死に諌める。勘違いしちゃダメよ、と。
ここは、プレイボーイに捕まらないように慎重になるのと変わらないが、問題の根は王子様の必殺の武器、相手に有無を言わさない動き。あっという間に彼の国へ同行して宮殿に滞在、エスコートされてしまっている。それも、何ら説明なし。秘書だからこれも業務の一環としてこなす。それにしてはあれよという間に一秘書にしては随分な場と機会が与えられて戸惑うばかり。
王子は振る舞いが天然なレベルで自由なものだから始末に悪い。彼女への特別扱いも特別には見えない。
妻の座を狙っていた女性は目的のためなら手段を選ばないタイプであるし。
やめるべきと思っていたのにヒロインの心はもう囚われてしまった。
舞い上がってはいけない、そういさめながら夢心地になるヒロインがとても女の子していて良かった。
未来の国王妃として、この先もまだ障害があるかもしれないけれど、なにせ、この王子様はご自分の意思を通されるお方、その調子で周りの反対など気にも留めず進んでいくだろう。それしきの「雑音」は彼には小さい、ということなのだろう。
これも元首のひとつの資質、貴女は勘違いしてたのじゃなかった。有頂天にならないで慎み深く日々を勤勉に過ごした貴女のキャラそのものが彼の心をつかんだと言えると思う。
このストーリー、敢えて王子の奥底は途中途中の彼女に対する新発見以外明かされない。そのため、一方的にヒロインの一喜一憂のみを読者は覗かされ、共に振り回され感が生じる。
そこに、王子のキャラを滲ませ、最後は自ら動いて情報リークの犯人を突き止め、自らの足で自分だけで迎えにいく。立場などなく。
男らしい。なにも他の思惑など気にしないで常に自分で出向かれて決めている。結婚の意思を告げるのもストレート。変なプライドなども無し。
途中愛の言葉を無駄打ちしてこないことが彼女を余計さ迷わせちゃったけれど、これからもそばにいてほしい、だけでは不足していた決定打を、ちゃんと最後の最後に放ってくれてハッピーに。