事故、盗難車、住居侵入、殺しあう云々の怖い会話、次々起こることはかなり危険なこと。
でも、ヒロインのおじい様を亡くした悲しみと充分生前に孝行しなかった後悔とで塞がれていた胸のつかえをそっと肯定してくれて、彼女はやっとおじい様の死後の心の落ち着き場所に彼はなってくれた。彼がヒロインをそのまま受け入れて胸を貸してくれたとき、彼の正体は依然謎に包まれたままであっても、親しみは増した。
しかし、隠し事をしている。そして、復讐とは、かなり派手なレベル。
そして、深まる彼への愛とは反対に高まる身の危険。そして、それは実行段階へ。
ストーリーは二人の日常の中で愛が自然に育つにも関わらず、彼の謎はなかなか全貌を晒してくれない。そこに、このストーリーは、あとへあとへと読者の興味を煽ってくれる。
でも、二人の場面には、そんな影を脇において互いにいい感じで過ごすひとときがタップリ描かれ、ただサスペンスだけがあるのではない。
ひとつだけ、なぜ盗難車なのだ、という疑問は残る。彼を得体の知れない人物にするだけの小道具化させただけに思えて、わだかまる。
事件続発とロマンスと、それらが少しもブツブツ切れてないので、うまいなと思った。
私はセットで読んだ。