いろいろ、変装(演技)・アクション・サスペンスのテイストが混ぜこぜで入っていて、しかもラブも含まれていて、肩の凝らない一冊。
他に収録されている「かたつむりの時間」は、スローモーな動きのことかと思ったら、雌雄同体の方だった。
時代からいって、主人公が女子として社会的制約多い頃、彼女の働きが決定的役割を果たす、という趣向は、読んでいて気持ちのよいものだったはずだし、演劇面の才能の高い設定、しかも、彼とのことでうじうじメソメソもない、点で楽しい話。
ただ、その活躍の裏で、男子の線が細く感じることが多く、女性のほうが主体的な役割を果たさせる筋運びを裏付けることにバランス取ってのことかもしれないが、もっと何かアピールして欲しかった、という思いはある。
かっこ可愛い、優しい、自由に動かせてくれる、といった要素も、男性の魅力として大事だが。
ただ、絵の好みで評価を私は下げたりしないので。(上げ、は有り)
身軽なフットワークと、颯爽と大胆積極的に出てくることが持ち味となって、赤石先生の描かれる女の子はかっこいい。設定の面白さも、展開が読めないのも、興味を誘ってとても良い。
最初に読んだのは本編を読んですぐだったが、最近になってレビューを見に行ったら、私は書いてなかったことに気付き、今頃投稿。
読み直してみて、やはりストーリーの複層構造が上手いので、「実は」と始まるタイミングに入ってからの、「真実の解明」シーンを白けることなく読める。
ただ、特別編P.A.の中には、偶然が多目だった。
4.45、小数点第二位以下は切り捨てという位なだけの、ホントにホントに微小な下方調整と思って欲しい。