あらすじに惹かれて購入しました。
平たく説明すると、過去のとある一日を繰り返し経験しながら、同じ日の繰り返しであるがゆえに決して自分を覚えない過去の男・洋介に焦がれる、現代の男子高校生・玲のお話。
まずファイルサイズがやや小さく、お話が淡々としているせいか一話一話がやたら短く感じました。
これで五話はちょっと細切れの印象。
お話は面白いと感じたので評価は高めにしましたが、サスペンスホラーっていうのでしょうか? BLである必然性を感じる設定ではなかったので好みは分かれそうです。
一応、過去の書生風の男「洋介」×現代の男子高校生「玲」 というカップリングがメインのお話ですが、カップリングにこだわる人には向かないお話かと。
こういう例えが適切かは分からないのですが、「ひぐらしのなく頃に」みたいな、超自然的な世界観が好きな人で、分かりやすいハッピーエンドにこだわらない人なら楽しめるのではないでしょうか。
(個人的に、あの終わり方はハッピーエンドですが)
ちなみに、何故現代に生きるあかの他人である玲が「その日」に介入出来たのか、なんて謎はそのまま。解明されません。
過去を変えちゃって未来は大丈夫なの?
そういう事を深く考えたら負けな作品だとは思いますが、SFやミステリを読み慣れている人はひっかかるかも。
繰り返される同じ日の中で、想いはひたすら玲の一方通行、洋介は過去の男。
無事時が動き出したとして、その時の中に玲はいない。
玲の「次の日も自分を覚えていてほしい」という想いから起こす行動は切なくて好きでした。
その答えである洋介の台詞。
ありがちといえばありがちですが、この作品の主軸を示している台詞だと思います。
このシーンはよかった。
続きが読みたいような、これで終わりだからこその佳作であるような……なんともいえない余韻のあるお話でした。