傍に置いておきたくない女ならば、あらゆる手段を講じて記憶を蘇らせる努力をすると思う。ヒーローカートはアメリカで1,2を争う最高の独身男と揶揄されるような存在なのだから何かしら手段を講じると期待した。そういう現実的なところを回避しての物語構成は白けてのめり込めない。冒頭から、以前とは印象が違うと感じたとはいえ、ヒロインエリザベスに傷つけられた大切な仲間達のところへ彼女を連れていくことはあり得ないと思うのだ。エリザベスにしても記憶の無いかつての行状を責め立てられて傷つけられて、記憶を取り戻したいと思えるわけないはずだけれど 都合よくも汚名を雪ぐと強い決意には 今心惹かれるカートとかつて愛しあっていたはずなのに これ以上嫌われたくはない意志は書かれていて納得はするけれど、導かれる道程が呆気なくて拍子抜けした。カートにしてみても、見目形はエリザベスでも、性格は両極であることの違和感を自分の都合の良いところだけで見ていてのめり込む好都合な展開には、呆れる。心を入れ替えて彼女がそこに居るのとは違う、記憶がないことをどうとらえているのか疑問しかなく、のめり込むほどに失くした記憶に拘るべきだと思うのだ。だから、ハピエンのどんでん返しも そうだろうね とスルーしてしまった。