頼まれるのもきっかけがあったとはいえ前任の職場を離れる理由が出産でしかも予定日一ヶ月前ならば、お産というものが早まることや、産前の休業も多少幅をもって考慮して、後任探しはとっくに決定していてもおかしくない頃。
優れたホテルに与えられる賞の獲得を目指すというなら余計、人選は厳選する。突然のご指名、あり得ない。
常連客が近隣の美容室を知らないのも納得がいかないし、突然の町案内も、いくらヒロインの勉強と身の安全といってもおかしい。
ましてや、引き留めるくらいでキスが唇同士、というハプニングも、絵的に必然性は感じ取れなかった。
そして、いきなりのお食事。
審査の日にヒロインの居住用不動産の物件下見ですっぽかし未遂、それでいながら、従業員に慕われるホテル経営者?
ヒロインが大切とはいっても、ヒロインの用件はまだ下見段階で、そこを離れる緊急性は私には無いように思える。
また、賭けに勝った同僚のお金は同僚自身のものではないのか?
ふたりの気持ちの芽生えも描写に裏付けるところが足りないし、彼の誘い方には口調は紳士でも唐突感が漂ってる。
ヒロインが新しい仕事に一生懸命なのは何となく通じるが、一体どこをどうすると、その短期間ですぐ前任の臨時代行として信頼を得られるのか。恋が生まれるくらいには時間の短さは問題ではないが、そこまで勤務時間中共に過ごしたわけでもなく、その上ちょっと仕事に没頭の時期もありながらのヒロインと彼の理解はどう進められたのか?ヒロインはたとえその期間中ホテルに住んだとしても、寝起きはバラバラ、職業柄大変だ。
冒頭の友人たちとの会話も以前に別の ホテルで働いた、ということと、前の彼がひどかった、ヒロインの人柄は利用されやすい、ということを説明するためだけにただあったように思うほどさらっと通りすぎてしまう。
同僚のアドバイスには、それなりに理解できる点もあるのに、彼、ヒロインを庇う、しっかりフォロー。
このストーリー、私にはついていけないところが多すぎて、原作の責任なのだろうが地道な積み上げなく決定付けている。読者として、立ち会ってきた感
ない。
それによいホテルなら、彼、サービス業を担う人物として、もう少し笑顔が欲しかった。