秘密の小箱が齎したものは、ヒロインイザベルの未来だった。受け入れがたいその未来は、1国の未来と重なり一整備士で自由の国で暮らしてきた彼女にとっては、息が詰まるほどの重圧を齎すものだった。まともな教育の時間さえないままに現場に放り出された彼女とヒーロー皇太子ニコロとのすれ違いは当たり前で、その価値観の差を埋めることなくすすむ展開には 慣例はおろか、理屈も常識も割愛されて不満が募る。政略結婚のニコロにとっては6歳当時の記憶だけが頼りの絆の構築具合にも納得いかないし、彼女が王の前で強く立っているという表現にも、無知なるものであるから、お門違いと映る。もちろん、アメリカからの彼女の容姿を鑑みると 美しく見えたのだからギャップ萌えしたことになるのだろうが 単純なシンデレラストーリーでこれまた残念。最初に立ち戻ってニコロの結婚無効宣言案も、王の一声で却下というお粗末なヒーローは萌えない。