普通に事故から遠ざかりたくなるのが心情だと思う。なるほど仕方がないとでも言えるような酷さが自分に対してあったとでもいうのならば話は別だが、そうでもない限り、どんな親でも親の死は子にはキツイ。ましてや、事故を境に色々な人の家族に影響が及ぶほどのものなら、後遺症はいかばかりか。この話、身体も心も痛手は相当だった。
大おばさまの遺言は、悲しい事故でバラバラになった心を繋ぐもの。大おば様は、事故のショックで壊死した両家の交流の断絶に心を痛めた。遺言は関係修復を背後から支えるプロセスのためのものだった。
これは、彼の母親も彼も、その他の家族が乗り越えた傷を最後になって漸く癒しがかなったストーリー。
相変わらず、幼馴染みキャラがここでもやってくれる。
ここは、彼は振り回されず、ヒロインのほうに来ただけだったが。
このストーリーは、タビーの義母の罪が大きいのに報いを受けるシーンはなく、人生、決定的打撃を与えるひとは往々にしてそんなものとはいえ、やはり今もそんな生き方をしてたら許さないぞ、みたいな気分はわだかまる。
子どもはやはり愛の証しではある。
この話もそういう典型ではあるが、お義母様が子どもを見つめて事故の記憶を過去のものと出来た点がいい。
シリーズ名はいただけないと思う。