このレビューはネタバレを含みます▼
悪女として名高い丹後局。しかし、この漫画からは策を弄し女の武器を駆使してのしあがる女傑の姿がみえてこないのだ。まず絵柄の問題だが、この作家さんの描く緩んだ半開き口元が下品に見え、とても中流貴族の姫に見えず、夫を全身全霊で愛し抜くわけでもなく(亡くなった姉の夫だから執着したフシがあった)、人生最大のパトロンになる法王と契るシーンの心理描写もとても醒めて打算的過ぎて興ざめしました。法王に「寄進」させた領地をわざわざ足を運んで見にゆき「私は気に入りましたわ」と取り上げられた貴族の前で得意気に言い放ってしまう頭の悪さ、思慮のなさ、傲慢さ。政敵の中宮を女官と結託し、イビリもどき工作で御所から追い出す陰険でスケールの小さすぎる小細工。絵といいキャラ設定といい、評価するところがまるで見当たらない。