お話だから成り立つ破天荒ぶり こんなのあり得ない、との徹底した虚構が却ってこれまでノーマークだった新鮮さ。何もないところからの、敵同士発の憎さ転じて愛に変わるラブストーリー。
被害者だと思っていた彼よりも、ヒロインの方がとてつもない被害者だった。
彼の血も涙もない容赦ないやり口に怒り爆発。拳の痛み、ヒロインの痛みそのもの。彼は憎しみを向ける形でずっとヒロインに関わり、こだわり続けた。
ヒロインは、自分を窮地に追いやる敵を受け入れるつもりはない。
しかし、両人の感情は出会ったときから相手を意識していた。
意地の張り合いは、彼が自信過剰気味なせい。
それにしても、彼の父親が受けたことは誰にもありうる。事実、彼は、ヒロインが父親から継いだ事業を潰すことで、ヒロイン父への復讐など遥かに越えて従業員たちを同じようにしてしまったかもしれない。
彼が力づくでヒロインをものにしたのは、こうしたトンデモ展開だからヒロイン当人も問題視していないが、一般的にいって不適切ではあった。