「じゃじゃ馬」を悪口として使っても親しみを持っている男性が、女性を自由にするタイプ。時代的にも、そして、貴族社会、都会のルール、のびのびと田舎で過ごしていたアナベルには大変な取り替え作戦。それもこれも、大切な妹のため。もうもうその麗しい妹愛がカッコいい。
それなのに、知らないとはいえ、ジャイルズの開口一番一時間の遅刻が云々。「すり替わった恋」以来のネチネチにカチンと来るたころを、ちゃんとやり返すアナベル立派!
と、気持ちのよい反撃随所でスカッとする。
日頃冷たい人の優しさに触れてコロッとするのは、優しさがレアケースだから。その珍しさを有り難がるツンデレ好みは、人間を全体から眺めてない気がして私は割りきれない。常に他人に優しい人は、常に自分をコントロールしていて、相手の異なる立場に思いを馳せない。いつも柔らかく接しようとしている人が損をするではないか。
それはさておき、好きになったものは仕方がない。
アナベルははっきりしている分だけ、自らストーリーを回して、ある意味「すり替わった恋」のモヤモヤを晴らしてくれる予感を持たせてくれる。