うーん、普通にいい話だなとは思ったんですが何というか、心に残らなかった。一つのお話を同じ主役で丸々一巻使ってるんですが、正直そんなに長くなくてよかったのではと思ってしまいました。ラストの、その後の主人公の読みきりは上手く纏まっていて、キャラの事がよく分かったので良かったです。ラストの読みきりにこの作品で描きたかったと思われることが凝縮されてる印象だったので、その前の5話だかの連載は正直いらなかったのでは。読みきりのみで十分でした。この作家さんは、連載で起承転結を考えるよりも、読みきりの方が得意なのではないかと思います。連載の方は、ここで?こんな感じで終わりなんだ?そう……。と思いました。最後までキャラに興味持てず、病人の良いお話が描きたかった事しか伝わってきませんでした。純粋な若い子が読めば感動したりだとか、感想が変わってくるのかもしれません。
この作品が微妙だと感じてしまった一番の理由は、表現力や描写力が不足しているように感じた所です。普通に漫画としてちゃんとストーリーは進んでいるものの、そのコマどうしてそのアングルなのだろう、ここは女の子じゃなくて男の子映した方が分かりやすかったのに、とか素人ながらに思うコマの魅せ方が気になりました。そして、主人公の恋愛対象がよく分からなかった。ギャグ要員にしたかったのか、無駄に主要な男キャラが出てるわりにキャラ達の掘り下げが甘く、読者がキャラに興味を持っても彼らがどういう人なのか深く分からないまま、名前すらうろ覚えのまま終わりました。その点ラストの読み切りでは、新キャラがどういう人なのか連載よりも伝わってきたし、葉加瀬先生がどういう人なのかも連載時よりも伝わってきました。
こうした方が良かったのではと私が思うのは、看護学生の時季くんはいらなかったのではと思います。最初彼との恋かと思ったので紛らわしかったし、真面目なストーリーの割にギャグ要素を入れたがりすぎ。おかげで葉加瀬先生の印象が薄かったので、恋のお相手と知ってびっくり。なら時季くんのシーンを削り、最初から葉加瀬先生が主人公に構う様子を見せてくれれば、恋心に納得できたし葉加瀬先生もより魅力的に感じれたのに。あと、壱くんが本当に余命一年なら、最後までどうなったのか見せてほしかったです。看護とか、命の重みとか生き方をテーマに描かれたのなら尚更です。色々と物足りない作品でした。