非現実設定なのにまことしやかに展開するので、ただ純粋にこの世界の二人のストーリーに入って行ける。
他校の生徒と知り合い付き合う、その状態だけでこのストーリーは読者層の憧れを取り込んで魅力を放つ。近しさが増すにつれ、二人のシーンは愈々キュン成分しかない状況で読まされ、遠く似ても似つかぬ高校生活を自分は送ったにも関わらず、何だかこちらも距離感無くなる。
何しろ湊くんが可愛くて、そして、嫌味の無いナイト。家がリッチという割とよくある強いキーエレメンツ取り込んで王道パターンであるが、ベタに格差やセレブ感を見せつけるシーンは余りない。
主人公リリコは、花男のつくしを何処か思わせる状況にあるけれど。。。
実は日頃物色しているハーレクインの試し読みで、とある作品19頁に南先生を思い出させる表現を見つけてこちらに来た。
連載長期化すると展開に不可欠になってくる、手強い昔から妹のように仲が良い存在だとか、二人を邪魔立てする男の子出現とか、周囲でカップル成立とか、新鮮味が減る。この種の話に混ざり込んで来るものはありきたりに揃って来るが、居そうで居ない湊くんの、グイ感が少ないのにフワッと入り込んでる親しさがなんとも適度に居心地の良さがあるのだ。理想化した男子像として絶妙なポジション取りを際立たせていく。
人為的な波乱も、二人の甘さを増すイベントの前触れと化してしまう。その分アッサリ感拭えず、物足りない人はいるかもしれない。中間の見え透いた間延びだとも、引き延ばしが見苦しいとも感じるかもしれない。人気作品が名作には成り辛い性質なのをこれも体現。
でも、かわいいから、許す。
私が残念に思う点は、リリコの無防備過ぎに繋がる行動力と鈍感さ。そして、少女マンガあるあるの、自分に好意を持つ男子に気づかぬゆえの事をしていながら、友達の想いにはむしろ敏感なところ。
親世代の絵が年齢差を出せていないところ。
デートで靴が合わなくて足がーという何回見たか判らない為の既視感。
それ以外は楽しんだ。