何だろうこれ。男性優位主義というのは男性のほうが「働く」事に女性と比べて容易いから成り立つ理論と考えていたが、逆に弱点を隠蔽するためなのではないかと思わされるような作品。女性はその身に子を宿し、母性という育む本能を有し、それでもって仕事ができて経済的に自立できてしまっては男のメンツ丸潰れなのを回避したいがための理論のような気がしてきた。リーの父親であるローレンスという男が誕生する子供に男子を希望する執着が、なぜかそれを思わせた。ヒロインであるリーは出生を知り郭公の雛に自らを例えるほどに孤独を感じていた原因をローレンスと位置付けている。そのローレンスの死で母を含め姉妹が自由になれることを懸命に伝えようとしている。なぜ?姉妹が父親の操るがままに何を犠牲にしてきたというのか?特筆されているのはキャロラインという姉の事。頭がいいと母は言うが、どういう風に?学業が優秀?何も書かれてはいない。ローレンスにしてみても男子を生むことができない妻をなぜ離婚もせずにいた?不思議だ。リーはただ「愛してほしい」その事だけにこうまで必至と言える行動をすることに疑問がある。それはリチャードも作中で語っている。リチャードは母親の浮気でできた子供であることを知っていて、とうに母親を切り離している。が、一応母親だからと結婚式に呼ぶ、これは彼も「愛してほしい」という願いが隠れているといいたいのだろうか?評価として★4つつけてはいるが3.5というところ。これは他のHQと違い契約結婚の現実味が出ている事。リーがリチャードとのやり取りでリーの切り返しが素晴らしかったことと、惹かれていく時間というものが打倒に思える事。それぞれの家族の事情がのみこめてリチャードの出生にどんでん返しがあった事などが面白く読めた。