どんな先進国であっても女性の地位は男性と同等にはなっていない。そんなことは周知の事実。それなのにルークは、ベリンダの夢を奪ったばかりか、記憶を失っていることを利用し自らに縛り付けようとした。姑息と言えるが彼の気持ちも大いに伝わる展開になっている。ただ難点は、私個人的な好み。ヒーローであるルークに魅力を感じられないから。出生の不幸から築き上げてきた彼自身のステイタスは素晴らしいが、優男すぎてちょっと引く。ベリンダの絶望も大いに読み取れて苦しくて、読み返すのには躊躇してしまうくらいに良く出来ている。ルークの仕打ちに絶望しか感じられていなかったベリンダも、彼の自分に対する執着を愛情の裏返しと悟っていたことに2年の歳月をかけて理解し、ルークの下へ戻ってくる。劇的なハピエンではないが穏やかな結末となっている。