日本らしい神様たちの物語。八百万もいて、有名な七福神や菅原道真から、有名な神を騙った貧乏神や無名のヤトがいたり、神話に出てくる国産みの神と元は人間だった神がいたり。そしてその神様たちがみんなすごく人間くさいところも、日本人の神様観に合っているような気がします。
表紙絵は繊細で美しいですが、中の描写はけっこう独特のノリがあるというか、ギャグ描写や若者の自尊心や羞恥心をぐさっとえぐるような描写もあって、ギャップに驚かさせれました。特に序盤は、ヤトに助けを求めた学生たちや雪音(若くして亡くなり、神器というヤトの武器になる男の子)の、思春期らしいちょっと『イタイ』言動に共感性羞恥を覚えて…!モゾモゾするやら、一緒になって反省するやら。。。
中盤からは神様たちが中心になり、神様同士の派手な戦闘や、神様の世界、代替わりなどが描かれます。でもやっぱり、神様は雲の上の完璧な存在ではなく、人間の信仰や思い・願いによって左右されるような、見ようによってはむしろ『弱い存在』として描かれているような気がします。
中心となるキャラは、神様のヤト、人間で幽体離脱するようになってしまった女の子ひより、亡くなってからヤトの神器となる少年雪音の3人です。立ち位置の違う3人が関わり合いながら、お互いを助けたり、成長したり、世界を救ったりする物語だと思います。