変幻自在に日常をスナップよろしく描き留めて、何気ない会話のなかに亀裂と崩壊を進める要因と辛うじて危険から守る何かを残す。
危ういバランスの中に絆と血の違いがあり、この作品はお母さんが徹底して頑固に強い。意地なのか、過去への彼女なりのこだわりなのか?
中学生主人公が、早く大人になっているところもあるし幼さを残すところもある。卜部君は難しい立ち位置だけど、このストーリーの中では一番がんばるべき存在と思うし、実際活躍したけれど、何故かビジュアルにインパクトを持たせない。作者的に彼を頼っていないのか。そこが読んでいて、私は、展開が宙ぶらりんと、感じてしまうところでもあるのだ。
しかし岩館先生の力量ゆえに、毎度の突き放した終わりかたへの不満はない。むしろやってくれたなとさえ。こうして1巻出来上がってしまうのがすごすぎる。これは最終話まで読んで評するべき作品。