千家先生の男性は、大人なのにキュート、立派な男性のルックスなのにどこか少年時代を想像させる瑞々しさがあって好き。(ただ表紙絵は例外です。顎がしゃくれているから。。。)
ヒロインのテスがつい胸を借りて泣いてしまったシーンでは、彼は、敷居を感じさせない親近感と、それでいながらテスが心を預けて涙を見せられる懐の深さと、両方見せる。顔も体格も、テスの涙を受け止める絵がいい。
そして、緊急事態のときに頼れる雰囲気もちゃんと持ち合わせてる。
このストーリーは年下の彼が、甘えてくるという一方的構図ではなく、包み包まれの間柄。
というわけで、好みなので読んでいて楽しい。
そして、愛の告白の言葉は必殺。
「君がいたから 君のそばにいたかったんだ」
その前に繰り出される言葉もよかったけれど、この言葉で一気に詰めに持ってこられた感じです。
そうですか、テスのところへ、ですか。
その、何となくの母性本能くすぐり顔で言われちゃったら、もうだめでしょう。
昔から気心の知れた人間、キャラをよくわかっていて、子どもベンとの事も受け止めてくれて、それでいて、前彼のことをあんなやつとうきあうなんて?と身内以上の厳しい審査の視線。
姪っ子が、前半まで余りにも子ども過ぎですが、後半は立場というものの経験を通じて、他人への理解を深める機会を得ます。姪っ子が結婚を前に成長できたというところを見届けられて、読者のイラッも少し救われます。
この話は、ヒロインが主人公であるがために、彼の過酷な幼少期が、どこか深入りを避けた話に組み立てられてます。描写はあるのですが、彼の辛さが伝わりにくい構造。そこをヒロインがしっかりエドガーに物申すところ、守る感じがなかなか。
ヒロインと彼を除く全員が身勝手に動いた産物の二人の成り行き。
特に、姪っ子の両親たる姉夫婦は能天気が目に余る。
事故が複数回数というところは、他HQにも散見するが、ストーリー展開の安易さは拭いきれない。アレック、姪&婚約者にベン、そして、レイフまでもが!?
このお話、筋はありがちながら、私には絵を通して彼の幼少期からの我が家感覚と、彼がヒロインとの間に発散するフェロモンとを、亡きヒロイン祖母宅のコテージ空間に見た気になる。
誤植だけは、やっぱり編集者も気にしてほしかったところ。末筆ながら、そこだけはお願いしたい。