このレビューはネタバレを含みます▼
主人公の澄花と、幼なじみで双子のいとこ暁生と千夏、3人の高校最後の年が四季の移ろいと共に淡々と描かれています。最後まで淡々としてるけど惹き込まれました。
いつしか子供の頃みたいに無邪気に絡めなくなっていた暁生を、望遠鏡で覗く日々に満足していた筈の主人公の心情の変化が生々しく伝わってきます。
彼女の独りよがりな想いは、やがてかけがえのない大切な幼なじみ2人を無自覚に深く傷つけてしまい…。
暗鬱な雰囲気を終始纏いながら、3人それぞれが秘密を抱えて淡々と過ごす日々が切ないです。暁生と千夏は好きですが、主人公には最後まで魅力感じなかったけど…。
悩みながらも新しい道へと踏み出し、後ろを振り返らない暁生と千夏。二度と戻らない時間と過去に囚われたままの澄花。
終盤に出てくる万葉集の詩と全てがリンクして、読後何とも言えない物悲しい余韻を引き摺りました。元気になりたい時には読まない方が良いかも。