フランツ・カフカを思わせる、インパクトのあるタイトル。印象に残ってなんとなく読んでみましたが、予想以上に面白く、一気に全巻読破しました。12巻完結って、程よい長さでちょうどいいです。
なんていうか、あまり読んだことのないような作品で新鮮でした。まずヒロインが、少女マンガの主人公っぽくない。ヒロインって普通、平凡な女の子という設定でも、本人や周りが気付いてないだけで、お化粧したり眼鏡を外したりすると実は可愛かったり、さらにはボディが素晴らしかったり、特別な特技があったりすることも多いと思うんですが、このヒロインの寺田さんはそういうことが全然なく。お料理は上手だけど、それ以外はとにかく普通で、むしろ就活に失敗しまくり恋愛も上手くいかず、卑屈になっている女の子。同性から見ても、正直ほとんど魅力を感じない。
私普段は、ヒロインが好きになれない場合は読み続けられないんですが、でもなんていうか、普通すぎて逆に気になりました。
その他の登場人物たちは、設定としてはみんなけっこう個性的なんですが、なんだろう、普通に感じるというか…絵が綺麗すぎないからですかね?心理描写がわかりやすいからかな?
とにかくみんな、いろいろ悩んでいて、その1人1人の気持ちがわかって物語に入り込みやすいです。
最後、もう少し先まで書いてもらっても良かったかなぁと思うのですが、まぁ前向きな感じで終わったのもよかったです。
また、タイトルとの連動か、全体に小説が関わっていて、登場人物たちの会話にも知性が感じられます。言葉選びも知的だなと感じます。作者さん、文学や哲学を勉強されてたのかな?
残念だったのは、絵。人物の、特に眉毛が気になります。。個人の好みという部分でしょうけどね。