目まぐるしく場面転換がなされていて、当時の漫画の描き方あるあるとして、少ないコマで強引なくらいに事件がどんどん展開する。
いろいろ謎を含みストーリーが進行していく中、無理筋も結構ある。
基本主人公は日本人の女の子なのだが、相手役が主人公といってもいいくらい。数奇な運命に弄ばれ、回りに対して欺くことがいっぱいあった。しかし好きなひとを想う気持ちは偽りがなかったと。
とそして、瑞木もまた素直に気持ちを伝えていれば、と、思い返すのだ。
感情移入する前に、ストーリーが何処に向かうのかにまず付き合わされる。登場人物の人数が多い中、一人一人にあまりエピソードの頁を割けない為に、全体として散漫な印象となってしまう。
海外の架空の王国の王位を巡る争いに、国の資源枯渇問題も背景というスケール、保険と保険調査員…、絡んでくるものが大胆でユニークといえる。
主人公は実質ストーリーを回していない。巻き込まれ型で、周囲のキャラが大きく立ち回っているところを、傍観者でさえないことも。
また、知ったことが出て来たとしても余計な口出しをせずに、指示されたものだけをおこなうよう当事者としては精一杯の協力の気持ちと慎重さとで、話が進む。
敵か味方かはっきりさせない意図はいいとしても、ストーリーを煙に巻きすぎて、何人もが結局読者への目隠し的キャラポジションだけに終わっている。勧善懲悪でもない。
何処に比重をかけて作劇したのか、絞って欲しかった気持ち。
誤字脱字や、吹き出し内の活字切り貼り跡の線が目につく。放置は少々残念だった。電書化の際は見直しを望む。
アクションの鮮やかさや盗賊の盗みの手口の手練れ感、愛の告白場面など、他に見たいところを寧ろ前面により出してくれれば印象深くなったようにも思える。