このレビューはネタバレを含みます▼
描画の天才、大島やすいち先生の初期の名作。貧乏な家庭に生まれた主人公・桂駒吉が、紆余曲折の末、将棋少年日本一になるまでが描かれる。私は、このマンガに触発され将棋好きになり、中学校では将棋が一番強くなって、プロ棋士に憧れたことさえありました。が、現実の厳しさ&プロ棋士の凄さに即座に諦めました😌(アマ5〜6段でもプロ養成の奨励会5〜6級にしか相当しないって信じられますか?)。
駒吉の師匠・出雲路宗雲や、その仇敵・東因坊我堂などという、大山康晴十五世名人や、その宿敵で勝負の鬼・升田幸三実力制第四代名人などを彷彿とさせる禍々しい人物も出てきて凄絶な抗争&睨み合いが描かれたりもします。また、連載当時、既に将棋連盟では奨励会のようなプロ養成機関が存在したのに、そういった現実にそぐわない設定にも不満が残りますが、逆にそういう「架空」の設定が、この泥臭い作品には合っていたのかもしれません。 誰も知らないであろう(?)後日談として、連載当時末期、『将棋世界』(将棋連盟の機関誌)に、「桂駒吉とライバルの一人・音羽金二郎の対局の最終場面の譜で、駒吉が勝利するのはおかしい」という悪意ある投稿があり、その譜面まで掲載されていましたが、そこには駒吉側の桂馬の上の3六歩が消されていて、私は非常に憤慨したことを思い出します!
将棋ファンが今、藤井聡太三冠の活躍に一喜一憂するのも有りですが、このような過去の将棋マンガの名作にも目をむけてほしいものです!