シーモア島でご紹介してくださった方々のおかげでセールで購入することができた。ありがたい。冒頭で心つかまれるも、最初から最後まで薄暗い悲しみの中にいるような、見えない檻の中にいるような息苦しさを感じた。続編があるとのことなのでまだこの先もあるのだろうけれど、本作だけを見れば解決していないことばかりで辛い。
人の記憶や心をコントロールすることができるという特殊能力を持つ人間と、その人間を支配しコントロールしようとする人間たちのお話。作りこまれた設定は、こんなこと思いついてすごいなーと感心させられたが、時々妙に理屈っぽく感じて、自分はどこか物語に入り込めない部分があった。絵は好みではないが躍動感と勢いがあって、物語をぐいぐい推し進めるようなパワーを感じた。ストーリーも絵も好みがわかれるのではないかと思う。好きな人はめちゃめちゃ好きだし、はまらない人にはまったくはまらないような。
でも、読みながら、自分でさえも忘れてしまっているような過去の様々な出来事が、自分の心の中に確かに積み重なっていて、それらすべてが今の自分を形作っているのだということを妙に実感させられた。幼いころ家族で松本城に行ったことを、私は全く覚えていないのだが、きっとそれも私の中の何かになっていて、そんなことに思い当たって母に改めて感謝した。