主役の革離が何度も叫ぶのが「戦争で人は偉くならんのだ!」ということ
戦場で手柄を立てるなり領土を得るなりしても戦争に参加している人間そのものが偉くなりはしない、と言いたいのだろうが
この作品では戦争のような極限状態で個々人の人間性が際立ち立派になってしまう事も有る、という
上記の主張とは逆の感想を抱きそうになる
原作小説の革離は卑劣な男ですらある(何せ交渉に来た人物を自分から殺している)
だからこそ戦争に関わる事すら嫌気がさし誰も偉くなんかないという気持ちになれる
漫画版の革離は好人物なのでそこは原作者の酒見賢一氏と森秀樹氏の作家性の違いであろうか
酒見氏、漫画版の脚色担当者の久保田千太郎氏が物故したからか
森秀樹氏は奇想天外な墨攻の続編、ビジャの女王を描いている
墨攻よりは残虐描写がおとなしめである