心に傷を持つ二人。零はただ刹那的な毎日を繰り返し、キラはひたすら心を閉ざす。そんな二人が出会うべくして出会い、惹かれ、お互いを必要不可欠な存在とした時に、止まっていた二人の時間が流れ出し、生きている実感を取り戻していく理描写は秀逸。物語は二転三転し、次々と真実が解明されていくタイミングも絶妙。10代の大人になりきれていない少年少女の心理描写は勿論、大人の本音と建前の描写も見事。美しい絵や表現力、展開のタイミング、魅力的なキャラ設定、しっかりしたテーマと最後までブレる事なくテーマに沿って丁寧に綺麗に描かれているのは、この世代の作家さんの共通点ですね。最近の少女(恋愛)マンガは軽めの物やテーマが深くても上手く掘り下げきれていない物もある中、この作品はテーマに沿って深く掘り下げられていて尚且つ丁寧、絵が綺麗で文句なしです。平凡な感想で恥ずかしい限りですが、感動させてもらえたとても良い作品でした。