巷で言われるところの毒親に振り回された子供2人のお話。利用するだけ利用して捨てていった母を恨むヒロインノエル。言葉巧みに懐柔して 味方だと誤解させて母の無念を晴らそうとノエルを利用するヒーローイーサン。復讐という目的を一つにして共闘する2人だが、その背後にちらつく子供の頃の純粋なイーサンの好意に読み手は胸が締め付けられる。復讐を止めて2人手を取り前を向いてほしいと。最低な親なのは理解したから、それでもイーサンには幸せがどんなものか教えてくれる祖父がいる。それは祖父曰く「私が教えてこなかったものだ」と。無責任な父など放っておけば自滅するのだからと私としては説得ばかりが頭を擡げる作りとなっていた。特に、2人で何も語らずに海を眺めていたという部分がとても好きで、感情の共有が2人の慰めにも希望にもなると感じた。お互いの傷を舐め合うのもいいだろう けれど、時間をおいて距離を取ってお互いの心中と向き合うことで素直になって進めばいい。嫌悪するものとは距離を取って自らの場所を作ればよい。そうしてくれてハピエンは心底嬉しい。2人のために。