神江里見せンせいのオリジナル漫画を読み返したくなり読んだ
神江せンせい(小池一夫がらみじゃないから止め)の作品は素朴な絵柄で人情と暴力や性行為がたっぷり描かれるという印象で
この作品も正にそのパターン
ただし性行為はあまり無い、主役が中年以降の年齢だから
棍を口から突き入れて後頭部まで貫通させたり子供を骨格を折り畳んで殺したり妊婦が殺された腹から嬰児が産まれたりと暴力の描写は苛烈である
主役は古流棒術または杖術の達人で大東亜戦争敗戦時点からある財閥の私兵としてゲリラの掃討を行なっていたが隠棲していたところを呼び戻される
特殊部隊というが私兵集団である
また、表紙に主役の爺さんの後ろに載っている暴力的関係者
こいつがやられ役なようで、前述の私兵集団を鏖にしているから、なんだこいつが一番の難物じゃないかと読んで感じた
主役の爺さんは最初に、ハイキングコースに現れた熊を「ハンターとかいう連中に殺されるよりは」と棍で頭蓋骨を貫通して殺している
その熊はハイカーの首を一撃で切断しているので今読むと説得力がまるで違う
主役の爺さんは棒術のみしか無く、神江里見せンせいの描写なので殺陣はほのぼのとしているとすら感じる
もちろんコピー絵も有るので笑いどころに困らない
話の展開は
・ハイキングコースの有る山で人を殺した熊を殺した主役の爺が財閥に呼び戻される
・主役の爺は酒びたりなので財閥の私兵集団を仕切る男は訝しみ彼をヤクザの事務所に送り込む
・爺がヤクザを全員骨まで折って組を潰す
・財閥の社員の一家を標的に惨殺するソビエトの工作員が現れる
・ソビエトの工作員が強くて爺も財閥も後手に回る
・ソビエトの工作員とは無関係に前述のヤクザが私兵集団を襲撃し爺以外が殺されるので爺がヤクザに復讐する
・ソビエトの工作員は上層部と仲間割れして爺が彼らを救け出し和解
・終わり
ソビエトは北方領土を返還するだろうと最後に台詞であるがそんな事ないどころか更に凶悪になったのが無常を感じる
あだしごとながらソビエトの工作員は処置を受けた強化人間であるので菊地秀行の『魔界行』に登場するバイオニックソルジャーを思い出した
この漫画は昔よくあったバイオレンス小説みたいなんだが
爺は強化人間とは無関係で、たぶん神江せンせいが特殊部隊とかセクションとか使ってみたかったンだろうな