プロレスのヒールとお堅い検事の組み合わせ。
荒々しい感じや会場の空気など出ていてJET先生の画風が生きる。猛獣もとても盛り上げてくれる。
二人のLOVEも伝わる。ケネディ家を思わせるヒロインの家庭、悲しいトラウマと血筋の呪縛。結婚もそんなでがんじがらめ。アメリカにはその一族に対する、王朝を称えるがごとき感覚があると聞くが、ある意味プリンセス的に難しい、また、現代的に人の価値観を見つめ直す、なかなか面白いところで展開した。
肉体勝負の職業を描かせたら余り少女漫画家で右に出る者はないだろう。また、荒くれ男の環境だとかも。
ストーリーの面白さと、人間含む野獣陣のド迫力に星を付けた。
女性は「美女」の枠で反対コーナーに登場したこのリングで、終始「美」の度合いが物足りなかった。
また、名門令嬢にして、若いながら検事で仕事熱心ということで、スーツ絵にはもっと良質感は欲しかった。
二人の感情の説明は伝わるが、二人の間に流れる空気の変化はよりビジュアルで感じ取りたかった。30,49,86頁は良かった。
100頁の最後のコマの、サインに関する所、吹き出しの向きが逆か、話者に合わせた言葉遣いでないと合わない。
非業の死を遂げた亡き父の、というのを用いるのが、ヒロインとしても結果オーライのクライマックスで、読後に全体を振り返ればそこも唐突感減殺にもなるという、意外な収束で良かった。
ただ、彼に、ヒロインに、思い起こさせるものがあったという意味では必要だった、一種の「銃撃」シーン、やらかしたほうの人間のその後の描写なく多少わだかまる。爆竹騒ぎにより、ブラムの眼にはアマンダこそがいわば傷ついた猛(?)獣ともいえた。
野獣遣いの才なのか、じゃじゃ馬が馴らされたのか、いずれにせよ、異なる価値観や日頃の環境から新たな発見や世界の広がりを体験する、結びつきの妙なる恋愛を読んで味わった。
虎の嫉妬、その表現は難しいと思うのだが、その後に認められるステージへ昇格を果たしたりなど、大型猫科が噛んでくる話としても楽しく出来ていた。
犬の出てくるHQは結構見てきたが、猫の系列は少ないと思う。その、猫のほうの登場の少なさを、本作が一気に挽回した感じだ。