フランセスカ。高慢な有閑マダム。200年という伝統の中で本来の奔放さを封じられ鬱々と過ごした子供時代から、離婚後の現在に至るまで本当に望んでいることの一つも叶えられていないようである。また、身の振り方についても教えてくれる者はなく、持ち上げられたまま従兄弟達にさえ距離を取られる孤独な女性と化してしまった。本人も自覚があるようで、けれどもどうすれば良いのか分からないでいる。この物語はフランセスカがサムと恋に堕ちるその変化が書かれているのだろうけれど、あまりにも憂鬱さばかりが前面に出ていて「恋」のトキメキも彼女の変化も希薄。恐らくシリーズ物なのだろうからそちらの為の背景説明だけ、に感じる。登場人物もフランセスカのことだけはしっかりと書かれているが他は、その他大勢 である。サムさえも。面白くない。