グッド・ちょっと・パーフェクト
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グッド・ちょっと・パーフェクト

石井まゆみ

すこーし不完全燃焼?

ネタバレ
2018年6月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 好きな作家さんなのですが…今作も楽しく読んでいたのですが…この終わり方はなんかちょっと。あまりにも余韻もなくストーンとぶち切られたような気がします。
過去作の「キャリアこぎつね」「黒うさぎ」そして今作。どれも『働く女性』であるヒロインの仕事への取り組みっぷりが縦糸で、『家族の絆』みたいなテーマが横糸、といった構成になっているように思う。家族はちょっとした秘密というか事情みたいなのを抱えていて、読者はヒロインと一緒にその謎を紐解いてゆく展開な訳です。伏線を回収しながら謎を解き、やがてヒロインが関わったことで登場人物たちが新たな関係を構築してゆく、みたいな。
で、今作がどうも不完全燃焼に感じるのは、謎は解けたけれどもそのあとがあまり描かれていないような気がするから。
そういう事情だったんだね、思い出したねー、で話が終わってしまっていて、新たな関係を構築する過程がどうも淡白。グッちょっパーお互いがお互いの領域に踏み込もうとせず、そこがリアルといえばリアルなんだけど物語としてはなんだか物足りなく感じてしまいました。
最後のアシスタントのブルックリン氏のお母さんの話はいい話だけれども、とってつけた感は否めない。これグッちょっパー三人には関係ない話じゃん。途中挟むなら素敵なスパイスになったかもだけど、最後に描くエピソードに相応しいとは思えない。最後のページもブルックリンが出張ってるしさぁ…君のことは嫌いじゃないけどw、でも君じゃないんだよ…それよかもうちょっとメインの三人の余韻が欲しかったんだ…。
もうそれぞれ大人になったきょうだいなんだから、盛大に何かが始まるような関係でもないって事なのかなー。まあ安易に色恋に移行されるよりはマシだけれども、よもや新しいお話を早く描きたくて自ら打ち切りにしたのではなかろうかとさえ疑ってしまいました。残念。
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