のんちゃんの手のひら
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のんちゃんの手のひら

金子節子

乃梨子がかわいい

ネタバレ
2018年6月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 確かに、現実にこんなに恵まれた環境で障害児を育てることはないだろうけど、作者は障害児を育てる大変さを伝えたかったわけじゃないのだから、必要な設定だったと思う。
これが普通の家庭で、お金のやりくりもしなきゃいけなくて…とかだったら、乃梨子の成長に重点を置いた作品にはならないから。
障害を持っているからって不幸なわけじゃなく、他の家庭と同じように悩み、幸せを感じるのだ、ということを伝えようとする漫画なのではないかと思う。
出生前診断も、やらない理由もやる理由も、それぞれの気持ちがとてもよくわかるし、特にやる人を非難しているようには感じなかった。主人公はやりたくないだけで。
考え方の押し付けは私はあまり感じなかった。旦那の実家、旦那自身、子供堕した人、妹がダウン症の人、やはり差別意識を持つ人、助けてくれる人など…なるべくいろんな人の意見を出すように作品を作っているように感じた。

ダウン症の人と関わったことがあまりないので実際と違うとかは分からなかったけれど、とにかく乃梨子がかわいい。健やかに育っていてよかった。

子供の頃近所に住んでたダウン症のお姉さんは、顔はダウン症特有の感じだったけど、話すと普通の人とそんなに変わらなかった。天使っぽくはなかった。いじわるされた時もあるし。人それぞれ。
最後の方、絵が乱れるのが気になった。
(追記)そういえば、私も小学校から障害を持った子と同じクラスで勉強していた。やはり高学年になるにつれ別の教室で勉強する時間が増えていた。最初にこの漫画を読んだ時、乃梨子の就学のあたりでこんなに大変なんだと驚いたが、それは自分自身が普通に障害を持った子と学校生活を送っていたから故の驚きだった。いつのまにか、小学校や中学に障害児がいても当たり前だと認識していた。これが、差別しない教育の成果なのかなと思った。確かにそういう人が増えると、少なくとも教育の機会が奪われることはなくなりそうだ。
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