王妃マルゴ -La Reine Margot-
」のレビュー

王妃マルゴ -La Reine Margot-

萩尾望都

史実は小説よりも奇なり

ネタバレ
2018年6月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 歴史は本当にグロテスクな出来事が多いけれど、中世ヨーロッパには特に複雑。
出来事だけを追っていたらとても理解しきれない時代を、萩尾望都さんが分かりやすく、一級のエンタテインメントに仕上げてます。
土地やお金だけでなく考え方や価値観を巡っても戦争していた時代。マルゴの様な素直な女性が王宮で生きるのがどれほど大変だったか。豪腕な母親に政治の道具にされ、相愛の男とは引き裂かれる。純粋な心も女の魅力も宗教の前では悪女扱い。ことごとくうまくいかない。しかしそうまでして得る、これが平和な世界なのか?という疑問を抱く知性。
困難な時代を懸命に生きるマルゴが清々しいです。対照的に、歴史に飲み込まれて死んでいく人々の痛々しさも心に残ります。
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