MUJIN 無尽
」のレビュー

MUJIN 無尽

岡田屋鉄蔵

人の心と時代の揺らぎを描く良作

2018年6月29日
隻腕の剣客・伊庭八郎を主人公にした時代物です。
スピード感やエンターテイメント性が求められる現代のマンガというメディアの中で、落語などに出てくる江戸の人情みたいな(言ってしまえば地味な)ものを、強い信念を持って、時間をかけて描いている漫画家さんだと思います。
だから、フィクションのストーリーの中にも「ああ、本当にそういう人だったのかも」とか「もしかしたら本当にこんな風な会話を交わしていたかも」という人間像のリアリティがあります。
明治維新というとても大きな歴史の転換を、さまざまな身分や立場の人の目を通じて多角的にとらえていて、史実に残らなかった歴史の真実を掘り起こす楽しさに浸れる作品です。
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