その時までは、君のともだち
」のレビュー

その時までは、君のともだち

吉田実加

難聴設定の活かし方が上手い

ネタバレ
2018年7月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ クォーター美形で目立つために苛められていた攻めの龍之介と難聴により周囲との会話に入れずになんとなく孤立してしまった受けの翔太。
高校時代からずっと親友として誰よりもそばにいて、ルームシェアまでしているその二人の関係が、翔太が女の子から告白されたことをきっかけに変わっていく…というよくある展開。
何故龍ノ介が翔太を好きになったのかということについては丁寧に描かれているのに、一度は激しく龍ノ介の恋愛感情を拒絶した翔太が龍ノ介のことを受け入れる過程が雑だったのが残念。
ただ、龍之介が翔太に恋愛感情を抱いているのを隠して翔太が彼女欲しい願望を親友として平気な顔して接してきたことを、翔太が自身の難聴故に周囲の会話や状況が読み取れないにも関わらず分かった振りして周囲に合わせて表情を作ってきたこととなぞらえて理解したというクダリは興味深かった。翔太が難聴ゆえに龍ノ介が誰よりも翔太のことを理解しているというだけではなく、翔太が龍ノ介の長年の苦しみを理解するという場面のためにもこの設定はあったのかと腑に落ちた。
それだけに先の、翔太が龍ノ介への恋愛感情に目覚めるシーンはもう少し丁寧に描いて欲しかったと思う。
ただ翔太は一旦龍ノ介を受け入れると腹の括り具合がしっかりしてて、自分に告白してくれた女の子にもきちんと伝えてるし、結構意外。逆に龍ノ介は結構泣き虫だったりヘタレだったり妄想ムッツリだったり、これまた意外。二人のそういう意外性はなかなか面白かった。
絵はキレイだけどキレイ過ぎて時に人形みたいな感じになるところも惜しい。Hシーンは思ったよりガッツリだった。
コラボ作品『こいつはダメだと知っている』の晶が良い先輩として登場。そっちの作品も気になるけど晶の相手役のクズっぷりに引き気味なので悩みどころ。
いいねしたユーザ7人
レビューをシェアしよう!