夜明けのキスと蜜色の恋
」のレビュー

夜明けのキスと蜜色の恋

西條六花/龍胡伯

Largoでの出会い

ネタバレ
2018年7月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 西條六花先生の大ファンながら,年齢差のある年下の男性との恋愛話は正直少し苦手で,読むかどうか迷っていました。でも,作品の舞台が,あのジャズバーLargoとわかったのもあり読み進め(計と芽依の話は大好きで何度も読み返しましたから。でも次々に出てくる料理や花々などのお洒落な感じは「ひそやかな花...」に近いかな。)
年下の周と年上の千冬のお互いを尊重しあう,少し距離感のあるやりとりの一方で,千冬の年上らしからぬ女性ぽい甘さや可愛らしさと年下とは思えない周の誠実で頼り甲斐のある姿,たくましさがどちらも魅力的で,読みながら自分が千冬になってそばに周がいるような気持ちになって,酔いしれました。周との別れで千冬がまた自分はひとりなんだと思ったシーンでは涙でしたね。本当に素敵な作品でした。終盤の展開も予想外で面白く,(別れから再会までのくだりは思うところもありますが),計と芽依同様,二人が再び結ばれて本当に嬉しく思いました。ベリーズ文庫系の恋愛ものにはない読み応えと細部までこだわった文章は流石です(情景が頭に浮かぶというのか,表現の巧さの点では「夏の終わりの夕凪に...」と双璧をなすと思いました)。これまで才能と情熱の計にぞっこんでした。もちろん総一郎や飴屋もイイ男。でも今回の先品で周に惚れました。一押しです。(改めて読み直すと,周がどんなときも敬語で千冬に語りかけるところにもゾクゾクしてしまいました。敬語使いに周という人物が現れている)
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