特装版「親なるもの 断崖」
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特装版「親なるもの 断崖」

曽根富美子

女郎の現実

2018年7月22日
花魁が華やかに描かれたり、女郎にもささやかな日常があった、というような作品が最近少なくないですが、現実はこの作品かそれ以上に救いのない世界だった、と先に知るべきだと思います。本人に罪はないのに、女郎にされたがために一生「穢れた者」のレッテルは剥がされず、牛馬ほどの価値もない存在として死んでゆくという人生が、まだ遠くない過去にたくさん存在していたという事実。娯楽漫画ではない、歴史の資料集のような作品です。ここまで(恐らく)リアルに描いてあるのは素晴らしいのですが、お梅の旦那様が…力のある人物なのに、ひどい扱いを受けることがわかりきっている自分の妻を本気で守ろうとする描写が皆無なのが少々後味悪く、星マイナス1。
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