このレビューはネタバレを含みます▼
この漫画を青春と一言で表現するのはお粗末と感じるほどグッときました。
内容は、あらすじにもありますが、長谷川唯司が同級生の吉永大和がゲイであることに戸惑いつつ徐々に親睦を深めていく中で、予備校で大和が出会った佐倉彰人は従兄弟にゲイであることがバレ、その従兄弟が無神経に周囲の人へ彰人がゲイであることをカミングアウトし、佐倉彰人の日常が崩れていくさまを見て彰人の従兄弟は腹がよじれるほど笑い転げている。その佐倉彰人を助けようとする大和だが、その佐倉彰人との交流が他に漏れて今度は吉永大和の日常を壊そうとほくそ笑むやつが現れる。
いじめを題材にしている漫画は世に多くあるが、ほとんどの作品は≪いじめの原因≫と≪いじめられるという行為・・・無視・暴言・陰口・暴力など≫をクローズアップしていて、いじめの解決までを丁寧に描かない。それは、作者自身がいじめ被害者で自分のつらい経験を吐露しているだけの場合と、作者のサディスティックな内面を表現したい場合が殆どで、その場合、どうやって解決するかは問題ではなく、むしろ解決すると物語が終わってしまうので、どうやったら長引かせられるかに焦点があてられていてむしろ害悪。
それが、この作品を見ると、真似できるかはケースバイケースですが、短いページの中で、いかに目の前の人を助けるかということを考えさせられる素晴らしい作品だと私は思いました。