このレビューはネタバレを含みます▼
ヒロインヒーローの感情が激流のように文字から流れてきて、読み終わってしばらく言葉もない感じでした。特にヒロインが記憶を取り戻し真実が明らかになってからが凄かった。ヒーローが何を隠しているのか気になって仕方なかったけれども、想像以上に凄絶でした。ヒロインの父親のせいで家族が苦しんだ末に死んでしまいヒーローはヒロインの父親を恨んでいます。しかしその父親が亡くなり、代わりにヒロインに復讐しようと考えヒーローはヒロインと結婚します。ヒーローの打算と憎しみに薄々気づきながらも、ヒーローを愛してしまい、苦しみが少しでも癒えるような場所を作ってあげたいという、ヒロインの健気な献身に胸が痛かった。ヒーローもまたそんなヒロインに惹かれてしまい苦悩します(無意識だけれど結婚する前から惹かれていた)。ヒーロー視点では、ヒーローの恨み、愛憎、真の愛、後悔、絶望と息つく間もない感じです。ヒロインにひどい仕打ちをしたヒーローが後悔して打ちのめされるお話はわりと好きなのですが、このヒーローは予想以上のことを仕出かしてましたね。あんまりだ‥ヒーロー。そりゃヒロインも死にたくなっちゃうし、すべてを忘れたくなっちゃいますね。ヒーローはヒロインを失ってから後悔と絶望にのたうち回ることになります。ざまあみろ、と言えないほどヒーローも苦しむし、ヒーローがヒロインを深く愛しているのが分かるので、ハッピーエンドに涙が出ました。ヒロインが可哀想で健気なだけではなく、ラスト、ヒーローに離縁を切り出す毅然とした強さも持っていて、それも良かった。当然ハッピーエンドなので別れないけれど。ストーリーに引き込まれ、一気に読んでしまいました。ドシリアスで泣けるけど、楽しめました。