このレビューはネタバレを含みます▼
大好きな大正時代のラブロマンスとあって期待大で読みました。私の大正時代のイメージそのままに、冒頭部分でその世界へスッと引き入れてもらい、その後はすっかり作品の世界に浸りました。総士さんと琴は、命を狙われる側と狙う側というとんでもない出会い方でしたが、総士さんは本当に懐が深く、だんだんと心を開いていくお互いの様子にウズウズでした。仇として探り合うばかりの関係で、甘い言葉もなかなか無く、甘々が好きな私としては物足りなく感じました。でも、軍人という立場や時代背景を考えたら仕方ないのかなとも。数少ない言葉と態度や表情で気持ちを伝え、相手もそれについてじっくり考える。そんなやり取りは当たり前のようですが、SNSですぐ繋がる現代ではなかなか無いことだなとも思いました。そんな中、総士さんが自分の気持ちを爆発させ、嫉妬に狂った夜はようやく突破口が開いた!とドキドキでした。そしてその後の二人の気持ちが通じて以降のラブラブは「やっと」という思いで胸キュンを堪能しました😍 それでももろ手をあげて喜び切れない仄暗さがあるのは時代のせいでしょうか。大好きな大正時代ですが、その後には太平洋戦争が待っていることを思うと切なくなります。戦地に向かう人と、送り出し帰りを待つ人の気持ちは、いつの時代もきっと変わらないのだろうと思うと、今の平和を大事にしなければと改めて思いました。